とはいえ、初の新車でスポーツタイプとあれば、納車後にディーラーを出た直後から有頂天。まるでフェラーリを買ったかのように自分は世界一の幸せ者だと感じていた。その日は、海外赴任で年に数回しか合えない父の帰国日だったが、路上に止めた新車が心配で深夜に帰宅してしまった。父が早くに亡くなったため、自身の親不孝ぶりに今も苛まれる。 SOHCながら16バルブを備えるエンジンは、ホンダが自慢するスポーティフィーリングとは程遠いエコノミーフィーリング。低速トルクは皆無でだか、高いギアリングを生かして燃費だけは抜群だった。同時期に別の友人が中古にて先述の最高グレード「Si」を買ったが、「クォーン」と回るそのDOHCの快音に比べて「ブーン」というふがいない音質がとても悔しく、いつか良い音のするエンジンの車に乗ると強く決意するきっかけとなる。 四輪ダブルウィッシュボーンの足まわりは、これまたホンダ自慢のコピーとは裏腹にほとんどストロークというものをしないガシャガシャのちゃちなイメージ。オプション装備用のダミースイッチ蓋が並んだコクピット全体を眺めながら、今後は絶対に最高グレード以外は絶対買わないと決意するきっかけともなる。 ともあれ、シンボルカラーのブラックに身を包んだそのフォルムは、異常に短いホイールベース、結果として広くなったトレッド、低い全高が生み出す格好よさに満ちあふれていた。BMWを思わせるドライバーオリエンテッドなセンターコンソールもそれなりの雰囲気を醸し出し、今考えても日本車離れした素晴らしいデザインだったと信じている。 結果として3年半つき合ったこの車は、お金が無いながらも旅館に泊まる旅の楽しさを教えてくれたし、本当にお金が無い時は車内で寝るなど4万km弱を共に走り回った。少しのブレーキミスで簡単にスピンする特性には手を焼いたが、毎晩のように洗車したり、自分の不注意による事故でボンネットがくの字にひん曲がっても40万ほどかけて直したり、情熱のすべてをかけて愛し抜いた車だった。
by hige-megane
| 2006-09-24 23:32
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