遍歴5/6─アルファロメオ 147GTA
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アルファロメオ 147GTA。 学生時代に車好きの間で大人気だったコミック「GT-ROMAN」。劇中で何度も登場する旧いアルファロメオの走行シーン。当時住んでいた小平市からほど近い場所にあったアルファロメオの中古車専門店「ガレージ33」に並ぶ彼女たちの魅力的なシルエット。実際に街ですれ違うアルファが放つゾクッとするほど乾いた排気音。206を購入する際も、検討の対象としてシートに座った156の冷たい感触を伝えるアルミのドアハンドル、ミウラ達スーパーカーを思わせるようなメーターフードやシート形状。

初めて意識してから10年以上、真紅のボディへの憧れは押さえきれないものとなり、ついに爆発。206とともにアレーゼに駆け込み、通算5台目の愛車としてアルファロメオ147GTAを発作的に契約。この車は、シビック同クラスのボディに3.2Lの排気量とグラマラスな専用ボディを持ったゴルフR32と並ぶ世界最強のハッチバック。高性能アルファの称号「GTA」の名を冠する証となるV6は、FFながら250psの最高出力と30.6kgmの最大トルクを発生する名機と呼ばれるエンジンの最終進化系。
諸事情により、アルファレッドではなくメタリックブラックとなったボディに、黒とタンのツートーンとなるレザーインテリア。ブラックアウトされたキセノンランプに存在感抜群の専用エアロと専用アルミ。6MTを駆使したトルクフルな走りは3速スタートさえ可能とする、ベーシックな147とは一線も二線も画すウルトラハッチでした。

恋い焦がれて手に入れたにも関わらず、結果として1年で手放すことになったスーパーマシン。そこには、雑誌には書かれなかった真実の姿がいくつか存在します。
■ディーラーへの不満
それなりに高額な車であったのに1台の試乗車もなく、プレスカーを貸すという約束は全く守られず、契約は急ぐが納車時期は完全不明。それがアルファと開き直り、売ってすぐに会社を辞めた担当営業など、総じてディーラーのレベルの低さを実感。
■品質への不満
買ったその日から異音を放った緩いボディ。すぐに擦り切れはじめたレザーシート。
夏は幾度も始動困難となるエンジン。大雨が降った日に右は下を左は上を向いたまま動かなくなり、ついには点灯を止めたヘッドランプ。以降、何度修理に出してもまともに前を向かなくなってしまった。
■V6エンジンへの不満
最大の購入動機であったエンジンは、期待と大幅に異なる満足度。2.5Lや3LのV6と違い、この3.2L版は回転落ちも吹け上がりも鈍かった。快音とは程遠い雑味だらけの排気音を改善しようと、フロント・センター・リアまで社外マフラーへと交換してみたが、ついぞ美声を聞く夢は叶わず。雑誌にはアルファ独特の「フォロロン」だの「クォーン」などという表現が、そこかしこに見受けられたが、あれは全て嘘です。正確には「グォギュォーン」とか「ボワーッ」という感じ。147GTAには乗らずに、過去に乗った155や156、GTVのイメージから大体同じと判断して書いた人が多かったのではと思っています。
■構造への不満
1970年代から生き延びてきた、古く大柄なV6搭載の帳尻はボティ床下に。最初から最低実用車高気味と言えるフロントパイプの低さ。地上高は低くてもスポーツカーとしては、あまりにも野暮ったいタイヤとフェンダーの大きな隙間。車高調整キットで30mm下げてみたが、少し深い轍のある道では確実に道路へヒット。車を物理的に削りながら走ることへの精神的な不快感。ノーマルサスでも乗り心地は良くなかったが、車高調をつけてからはさらにヤレが進行、サスがストロークしないのでショックが車のボディと私の腰と背骨を直撃。ついには腰痛からクラッチを踏むことが辛くなる始末。

私には向いていなかったが、美点も決して少なくない147GTAの最大の魅力は独特の雰囲気。戦闘的で魅惑的なボディライン。思わず飛ばしたくなるスポーティなインテリア。いつまでも眺めていくなるようなV6エンジンの吸気管の輝き。このブランドだけが持つ日常の非日常とも呼ぶべき存在感。いつの日か「心に描いた」ままのアルファロメオに乗ってみたい。
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by hige-megane | 2006-09-27 23:12
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